鉄道会社の車両事情
- 2017/10/17
- 11:47
鉄道マニアの回顧趣味は、日本の産業文化にとってはもう欠かせないかもしれません。
でも、鉄道会社にとってはどうでしょう。 本当はもっといろいろなご苦労があるように感じるのです。
先週末に、九州の西日本鉄道で特急用として導入されました車両が引退したのですが、特に最近、九州の鉄道は事情が刻々と変化しているようです。

これはかつての特急用で、先般引退した車両が特急用になってから、2枚ドアから中間に増設し、3枚ドアになった車両です。
愛嬌のある顔で、ボンネット世代といっても良い形式でしたが、既に全車引退しています。
珍しくセンターキャブになっていました。

先日引退したのがこの形式です。 平成生れということですので、JR西日本なら221系と同世代です。 引退が早まるのにも色々と会社としての事情があります。

通勤型は結構長持ちのようです。 西鉄は私達が暮らす北陸とはちょっと縁遠い存在なので、接する機会は限られていまして、これらの上3枚の写真は、15年近く前に1時間弱の間に撮ったものです。

3年前の2014年に北九州と福岡市を視察した際に、貝塚駅近くの公園に展示されている、今話題のナハネフ221007を見学した帰りに乗車したのが、たまたまこの300型でした。 引退の2ヶ月前だったと思います。

最後に、今でも走り続ける狭軌車です。 いずれの車両も個性的で、西鉄のオリジナリティ=社風を感じさせるものです。 地域に溶け込んだり、企業の顔となったりするのが鉄道車両ですから、中途半端は確かに良くないでしょう。 新車への投資も必要であれば、旧車への処遇も、キッチリした感がある会社です。
大手私鉄は殆どが黒字企業で、車両には「減価償却」が必ず発生しています。
15年程度で償却期限を迎え、固定資産税は平準化します。
ただ、黒字企業は資産と減価償却が目減りすると、単なる儲けは法人税として国や地方に持っていかれますし、累進課税方式で利益が多ければ課税率が上がってしまい、会社にプールしたくても出来なくなってしまいます。
結局、車両も「まだ使えるのに」という利用者やマニア目線より、「もう減価償却してしまって資産価値がない」という会社の方針から、中古車扱いになってしまいます。
ボンネット世代は正に、自動車でいう「経年中古車市場」で、買う側も売る側も二束三文です。
でも、大企業でも長く細く使っていたり、そもそも赤字企業であれば、車両更新に投資するより、維持し続けた方が利益が出たり損失が少なかったりします。
西日本鉄道は本業を鉄道業というより不動産業にシフトしていますが、JRが九州新幹線にシフトして在来線特急を廃止した結果、地方都市との地域格差を埋める役割が高まっているのかもしれません。 そうなると、過剰な利益を車両新造に回す好機と捉えた場合に、勿体ないですが仕方ないという話になってしまいます。
クハ489-501も昭和46年から50年にかけては山陽特急として九州の地に足を運んだ実績があるので、これからも九州との交流が続きますよう願っています。
そんなクハ489-501ボンネットは、鉄道会社が放棄せざるを得なかった資産価値を、「遺産価値」として認めていただくべく、小松市が譲受、保存を決めた財物です。 鉄道会社に遺産価値を営業目的で保有するのは、余程の観光受益としてミュージアムのように認められない限りは、むしろリスクであることが言えます。
国の法律というしがらみだとの批判的な考えもありますが、所有者を変えたり普段は線路から切り離して設置することで、資産価値がなくなる事もあります。 クハ489-501の場合は、今の状態ならば資産価値はありません。 でも、鉄道マニアが求むるような、本線との接続をしてしまうと、例え自治体所有であっても「線路を動く車両は資産だ」との考え方から、課税対象になるかもしれません。
うまいバランス=政治力があると、鉄道は文化レベルが一層高まります。
でも、鉄道会社にとってはどうでしょう。 本当はもっといろいろなご苦労があるように感じるのです。
先週末に、九州の西日本鉄道で特急用として導入されました車両が引退したのですが、特に最近、九州の鉄道は事情が刻々と変化しているようです。

これはかつての特急用で、先般引退した車両が特急用になってから、2枚ドアから中間に増設し、3枚ドアになった車両です。
愛嬌のある顔で、ボンネット世代といっても良い形式でしたが、既に全車引退しています。
珍しくセンターキャブになっていました。

先日引退したのがこの形式です。 平成生れということですので、JR西日本なら221系と同世代です。 引退が早まるのにも色々と会社としての事情があります。

通勤型は結構長持ちのようです。 西鉄は私達が暮らす北陸とはちょっと縁遠い存在なので、接する機会は限られていまして、これらの上3枚の写真は、15年近く前に1時間弱の間に撮ったものです。

3年前の2014年に北九州と福岡市を視察した際に、貝塚駅近くの公園に展示されている、今話題のナハネフ221007を見学した帰りに乗車したのが、たまたまこの300型でした。 引退の2ヶ月前だったと思います。

最後に、今でも走り続ける狭軌車です。 いずれの車両も個性的で、西鉄のオリジナリティ=社風を感じさせるものです。 地域に溶け込んだり、企業の顔となったりするのが鉄道車両ですから、中途半端は確かに良くないでしょう。 新車への投資も必要であれば、旧車への処遇も、キッチリした感がある会社です。
大手私鉄は殆どが黒字企業で、車両には「減価償却」が必ず発生しています。
15年程度で償却期限を迎え、固定資産税は平準化します。
ただ、黒字企業は資産と減価償却が目減りすると、単なる儲けは法人税として国や地方に持っていかれますし、累進課税方式で利益が多ければ課税率が上がってしまい、会社にプールしたくても出来なくなってしまいます。
結局、車両も「まだ使えるのに」という利用者やマニア目線より、「もう減価償却してしまって資産価値がない」という会社の方針から、中古車扱いになってしまいます。
ボンネット世代は正に、自動車でいう「経年中古車市場」で、買う側も売る側も二束三文です。
でも、大企業でも長く細く使っていたり、そもそも赤字企業であれば、車両更新に投資するより、維持し続けた方が利益が出たり損失が少なかったりします。
西日本鉄道は本業を鉄道業というより不動産業にシフトしていますが、JRが九州新幹線にシフトして在来線特急を廃止した結果、地方都市との地域格差を埋める役割が高まっているのかもしれません。 そうなると、過剰な利益を車両新造に回す好機と捉えた場合に、勿体ないですが仕方ないという話になってしまいます。
クハ489-501も昭和46年から50年にかけては山陽特急として九州の地に足を運んだ実績があるので、これからも九州との交流が続きますよう願っています。
そんなクハ489-501ボンネットは、鉄道会社が放棄せざるを得なかった資産価値を、「遺産価値」として認めていただくべく、小松市が譲受、保存を決めた財物です。 鉄道会社に遺産価値を営業目的で保有するのは、余程の観光受益としてミュージアムのように認められない限りは、むしろリスクであることが言えます。
国の法律というしがらみだとの批判的な考えもありますが、所有者を変えたり普段は線路から切り離して設置することで、資産価値がなくなる事もあります。 クハ489-501の場合は、今の状態ならば資産価値はありません。 でも、鉄道マニアが求むるような、本線との接続をしてしまうと、例え自治体所有であっても「線路を動く車両は資産だ」との考え方から、課税対象になるかもしれません。
うまいバランス=政治力があると、鉄道は文化レベルが一層高まります。
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